この記事は就活や転職にも役立つ資格、「ITパスポート」についての解説記事です。
今回はネットワークの仕組みを理解するために、試験範囲の”テクノロジー系 ネットワーク”に位置づけられるテーマについて、現役エンジニアの著者が分かりやすく解説していきます。
今回は、「インターネットサービス -電子メール- 」というテーマの記事となっています。
ITパスポート試験では電子メールに関する問題がよく出題されておりますから、しっかりと押さえておきましょう。
記事の後半では過去にITパスポートに実際に出題された問題も取り扱っていますのでぜひ最後まで目を通してみてください。
目次
電子メール
電子メールは、文字通り、インターネット上で実社会の手紙と同じ役割を果たすものです。
便利なインターネットサービスですから、ビジネスシーンでもプライベートでも広く利用されていますね。
実社会での手紙では、切手を貼ったり、送り主や宛先の住所や氏名を書いたり、ポストに投函したりするなど、郵送する為のルールがあります。
これは電子メールでも同じであり、送る際のルールや受け取る際のルールを定めた「SMTP」「POP」「IMAP」といった、「約束事」である通信プロトコルが存在します。
電子メールに関するプロトコルは別の記事で解説しておりますので、詳しく知りたい方はそちらも是非ご覧になってください。
メールアドレス
メールを送る際には必ずメールアドレスが必要になりますが、このメールアドレスは宛先の住所に当たります。
例えば
yuki@code-dict.com
のようなメールアドレスの場合、@(アットマーク)の前の yuki の部分がユーザー名、code-dict.com がドメイン名です。
ドメイン名はインターネット上にあるサーバーの住所の役割を果たしています。
つまり、yuki@code-dict.com は、code-dict.com という場所にあるサーバーの、yuki さん宛のメールという事になります。
ドメイン名について詳しく知りたい方は、解説記事のリンクを貼っておきますのでそちらを是非ご覧になってください。
メールアドレスの宛先指定方法
メールをやり取りする際の宛先として、メールアドレスを指定しますが、宛先の指定方法は3種類あり、送り方によって使い分けされます。
ちなみに複数のメールアドレスに対しては「, 」カンマで区切る事で、複数宛先に送信できますので覚えておきましょう。
1対1でのやりとりは「To」しか使いませんが、複数の宛先にまとめてメールを送りたい場合は「Cc」や「Bcc」を使います。
このように複数の宛先にメールを送る方法を「同報メール」と呼びます。
To
Toは本来の意味での宛先で一般的に送ったメールに対しての返信や内容の処理を行う人のメールアドレスを記載します。
英語では、前置詞「To」に目的地に「到達する」といった意味があり、Send(送る)や、give(与える)と共に使われます。
このToがメールの送信先を指定する際にも使われているわけです。
Cc
Cc(シーシー)は、Carbon Copy(カーボンコピー)の略です。
ビジネスシーンであれば上司やチームメンバー等、このメールに対して直接、返信や処理を行う人物ではないが念の為内容を確認しておいてほしい人のメールアドレスを指定します。
ちなみに、カーボンコピーとは、複写機やプリンターが発達する前に行われていた複写方法のこと。正式な書類と複写先の紙、二枚の書類の間にカーボン紙を挟み、ボールペンなどで文書を作成すると、正式書類にかかる筆圧でカーボン(炭)がこすり付けられて複写先の紙にも文字が写る、といったものです。
Bcc
Bcc(ビーシーシー)は、Blind Carbon Copy(ブラインドカーボンコピー)の略です。
ここに指定した宛先のメールアドレスは、他の宛先には通知されません。
取引先等のお互いに面識が無い方々に対してメールを送りたい時に、個別にひとつひとつメールを送るのは効率が悪いので、Bccを使う事で宛先は非公開となり送信者以外は確認出来ない状態でメールを送る事が出来ます。
試験対策用まとめ
以下に、試験対策用として記事の要点をまとめました。
- メールアドレスは宛先の住所の役割
- Toはメールに対する返信や内容の処理を行う人を指定する、
- Ccは直接の宛先ではないが、念の為に確認してほしい人のメールアドレスを指定する
- Bccに指定した宛先のメールアドレスは、他の宛先には通知されない
- 複数の宛先にメールを送る方法を「同報メール」と呼ぶ
今回はこの5つを押さえておきましょう。
ITパスポートの過去問で実践
それでは、実際にITパスポート試験で出題された電子メールに関する問題を解いてみましょう。
平成27年秋期
一度に複数の相手に電子メールを送信するとき,電子メールを受け取った相手が自分以外の受信者のメールアドレスを知ることがないようにしたい。
このとき,送信したい複数の相手のメールアドレスを記述する場所として適切なものはどれか。
- ア Bcc
- イ Cc
- ウ To
- エ ToとBccの両方
複数の相手に送信し受信者には自分以外のメールアドレス知られないようにする場合はBccにメールアドレスを指定します。
エのToとBcc両方に設定するとToが指定されているのでToで指定した受信者には送信した相手のメールアドレスが全て見えてしまいます。(Bccで指定した受信者は他のアドレスを見ることはできないが)
したがって答えは「ア」です。
平成22年秋期
電子メールの送信例のうち,受信者への配慮の観点から,最も適切なものはどれか。
- ア 会員から抽出した100名のアドレスを一度にあて先(To)に入れて,会員満足度調査のアンケートを電子メールで送った。
- イ 自社製品を紹介する大容量の資料を,圧縮せずに電子メールに添付して得意先に送った。
- ウ 製品の質問メールへの回答で,その内容を知ってもらいたい複数の顧客のアドレスをCcに入れて返信した。
- エ 特別企画のホームページのURLを特定の限られた顧客に知らせるために,アドレスをBccに入れて送信した。
Bccに指定したメールアドレスは、他の宛先には通知されません。
Bccに指定されたメールの受信者は受信したメールが他のどのメールアドレスに対して送信されたか分からないため、お互いに面識が無い顧客に一斉にメールを送る場合等のメールアドレスが公開されないような配慮が必要な場面で活用されます。
よって正解は「エ」です。
令和2年秋期
AさんがXさん宛ての電子メールを送るときに,参考までにYさんとZさんにも送ることにした。
ただし,Zさんに送ったことは,XさんとYさんには知られたくない。このときに指定する宛先として,適切な組合せはどれか。
- ア To Xさん、Cc Yさん、 Bcc Zさん
- イ To Xさん、Cc Y、Zさん、Bcc Zさん
- ウ To Xさん、Cc Zさん、Bcc Yさん
- エ To Xさん 、Yさん、Zさん Cc Yさん Bcc Zさん
Xさんは宛先として指定するので「To」に指定。
Zさんに送った事は、Xさん、Yさんにバレたくないので、Zさんのメールアドレスは、メールの受信者に通知されない「Bcc」に指定。
Yさんのメールアドレスは、Xさん及び、Zさんに知られても問題ないので「Cc」に指定。
したがって「ア」が正解となります。
まとめ
今回は以上になります。
電子メールは、ほとんどの社会人や学生が利用しているサービスでしょうから、この記事を通して、多くの人の理解が深まっていれば幸いです。
本記事の中で分からない用語があった方は関連する記事のリンクが貼ってありますのでそちらもご覧になってください。