この記事は就活や転職にも役立つ資格、『ITパスポート』についての解説記事です。
今回はITパスポート試験範囲の「テクノロジー系、ネットワーク」に位置付けされる「電子メールの通信プロトコル – SMTP、POP、IMAP -」について、現役エンジニアの著者が分かりやすく解説していきます。
DHCPは、ネットワークを理解するうえで基礎的で重要な項目の1つですから、必ず押さえておきましょう。
記事の後半で、過去にITパスポートの試験で実際に出題された問題も取り扱っているので、ぜひ最後まで目を通してみてください。
目次
電子メールの通信プロトコル
電子メールの通信プロトコルは、スマートフォンやPCのメール設定等、日常で触れることの多い身近な通信プロトコルです。
他の通信プロトコルと同様に、各メーカー毎にメール送信に関するルールが違う場合、同じメーカーのデバイス同士でしかメールのやり取りが出来まず、非常に不便です。
その問題を解決する為の共通のルールが電子メールの通信プロトコルです。
SMTPとは
SMTPとは、Simple Mail Transfer Protocol(シンプル メール トランスファー プロトコル)の略で、電子メールをデバイスからメールサーバに送信したり、メールサーバ間でメールを転送したりする際に用いられる通信プロトコルです。
電子メールは現実世界の郵便のような仕組みになっています。
郵便物が送られる際、ポストに投函された後、郵便局員が郵便物を回収し、郵便局に集めます。
その後、宛先の最寄りの郵便局まで運び、郵便物が手元に届きます。
郵便局の役割を電子メールの世界ではメールサーバーが担っており、この一連の流れの中で、「宛先の最寄りの郵便局まで運ぶ」までの過程が「SMTP」の役割となります。
すなわち、電子メールを宛先の最寄りのメールサーバまで送る仕組みが「SMTP」という事になります。
最寄りのメールサーバまで送る、つまり、メールサーバ間でのメールのやり取りも「SMTP」を使用している点をしっかり覚えておきましょう。
POP
SMTPを用いて最寄りのメールサーバにメールが届いたら、この際に使用する通信プロトコルをPOPといいます。
POPは、Post Office Protocol (ポスト・オフィスプロトコル)の略で、電子メールをメールサーバから受信するためのプロトコルです。
現実世界では、最寄りの郵便局に届いた郵便物を取りに行く行為のようなものです。
IMAP
メールを受信するプロトコルには、POPとは別に「IMAP」という通信プロトコルがあります。
IMAPは、Internet Message Access Protocol (インターネットメッセージアクセスプロトコル)の略で、電子メールをダウンロードせずにメールサーバ上で閲覧するためのプロトコルです。
POPとは違い、メールをダウンロードしないという特徴があります。
メールサーバ上でメールを管理するため、メールの削除や、既読未読状態等をメールサーバ上で一元管理する事が出来るようになり、PCとスマートフォン等、複数のデバイスで同じメールアドレスを利用する場合に便利になります。
現実世界では、郵便局に行き、その場で郵便物の内容を確認しそこに置いたまま帰るようなものです。
また、POP3やIMAP4等、プロトコル名の後に数字が付いた表現がされる事がありますが、この数字はバージョンを表しております。
ITパスポート試験ではバージョンの違いまでは問われないので、そのまま、POPやIMAPと解釈しましょう。
試験対策用まとめ
この記事の要点を以下のようにまとめました。
- SMTPはメールを送信する通信プロトコル
- POPはメールを受信する通信プロトコル
- IMAPはメールをメールサーバ上で直接、閲覧したり管理することが出来る通信プロトコル
- POP3やIMAP4等、最後に付いている数字はバージョンを表している
今回はこの4つを押さえておきましょう。
ITパスポートの過去問で実践
それでは実際に出題された問題を解いてみましょう。
平成25年春期
電子メールの受信プロトコルであり,電子メールをメールサーバに残したままで,メールサーバ上にフォルダを作成し管理できるものはどれか。
- ア IMAP4
- イ MIME
- ウ POP3
- エ SMTP
IMAPは、電子メールをダウンロードせずにメールサーバ上で直接閲覧するプロトコルです。
IMAPを用いる事でメールの既読未読状態や下書き等をメールサーバ上で一元管理する事が出来るようになるため、PCとスマートフォン等の複数のデバイスで同じメールアドレスを利用する場合に便利になります。
IMAPの後の「4」はプロトコルのバージョンであり、このようにバージョン付きで表現される事があります。ITパスポート試験ではバージョンの内容まで問われることはないので、IMAPとして覚えておきましょう。
したがって、正解は「ア」となります。
「イ」のMIMEはテキストしか使用できない電子メールにおいて、様々な書式を扱えるようにする拡張機能のことです。
平成24年秋期
メールサーバに届いた電子メールをメールソフトで受け取るために使用されるプロトコルはどれか。
- ア DNS
- イ HTTP
- ウ POP3
- エ SMTP
ア DNSは、ドメイン名をIPアドレスに変換する仕組み
イ HTTPはWebサーバとWebブラウザ間でデータをやり取りする際に使用する通信プロトコル
ウ POP3は、メールサーバからデバイスにメールを受信する際に用いる通信プロトコル
エ SMTPは、メールを送信する際に使用する通信プロトコル
したがって正解は「ウ」となります。
平成31年春期
PC1のメールクライアントからPC2のメールクライアントの利用者宛ての電子メールを送信するとき,①~③で使われているプロトコルの組合せとして,適切なものはどれか。
- ア ①POP3 ②POP3 ③SMTP
- イ ①POP3 ②SMTP ③SMTP
- ウ ①SMTP ②POP3 ③POP3
- エ ①SMTP ②SMTP ③POP3
正解は『エ』です。
SMTPは、デバイスからメールをメールサーバに送信したり、メールサーバ間で電子メールのやり取りを行う為の通信プロトコルです。
POPは、メールを受信する際に使用するプロトコルです。
①はデバイスからメールサーバにメールを送信している為「SMTP」
②はメールサーバからメールサーバへ転送しているので「SMTP」
③はメールサーバからデバイスにメールを受信しているので「POP」
したがって、正解は「エ」となります。
まとめ
今回は以上になります。
過去問で演習してみると、初見ではメール関連のプロトコルの区別が難しいのがわかるかと思います。
この記事を通してSMTP、POP、IMAPへの理解を深めて、区別がつけられるようになれば幸いです。
本記事の中で分からない用語があった方は関連する記事のリンクが貼ってありますのでそちらもご覧になってください。