この記事は就活や転職にも役立つ資格、「ITパスポート」についての解説記事です。
今回はネットワークの仕組みを理解するために、試験範囲の”テクノロジー系、ネットワーク”に位置づけられる「無線LAN、ESSID」についての記事です。
特にESSIDはITパスポートの試験で出題頻度が非常に高い重要な項目の1つですので必ず押さえておきましょう。
記事の後半では過去にITパスポートに実際に出題された問題も取り扱っていますのでぜひ最後まで目を通してみてください。
目次
アクセスポイントとは?
無線LANを解説するうえで、このアクセスポイントという装置について解説しておく必要があります。
アクセスポイントとは簡単に言うと、有線LANと無線LANを双方向に変換できる機能をもつ装置のことです。
ちなみに”ルーター”とは厳密に言うと異なります。
“ルーター”は有線LAN同士を繋げて無線機能はありませんが、アクセスポイントは有線LANと無線LANの変換を行います。
そして近年一般的に使われているのが、「無線ルーター」というもので、これはアクセスポイントとルーターの機能を併せてもった装置です。
有線LANを繋げられた「無線ルーター」は無線LANを飛ばすこともできますし、有線LANを伸ばすこともできるのです。
無線LANとは?
無線LANとは、文字通り無線でコンピューター同士を繋ぐLANのことです。
ワイヤレスLAN、もしくはそれを略してWLAN(ダブリューラン)と呼ばれることもあります。
WiFiと同じとされることもありますが、厳密に言うと”WiFi”とは無線LAN機器が相互接続できることを示した認定名称です。
対して、無線LANとは、ローカルの、すなわち特定のコンピューターのみがつながりあっている際に用いられる無線を総称した名称です。
WiFiは無線LANの中でもある特定の規格で通信を行うものの名前であり、無線LANの一種というわけです。(今ではほとんどの機器がWiFi規格に対応した無線LANを使用するためほぼ区別されなくなった)
また、無線LANには、アクセスポイントを介して通信を行う①インフラストラクチャーモードと、対応する子機同士が直接通信を行う②アドホックモードという、2つの通信形態があります。
アクセスポイントとは、上述したように有線LANを変換して無線LANを飛ばし、逆に無線LANの情報を有線LANに変換するといった機能をもつ装置の名前でしたね。
インフラストラクチャーモード
インフラストラクチャーモードとは、無線LANのアクセスポイントを介して通信を行う方式の名前です。
複数のデバイスが同時にインターネットに接続することが可能なため、一般的にはこの①インフラストラクチャーモードが適用されています。
このモードでは、当然ながら無線LANアクセスポイントの設定が必要であり、アクセスポイントに繋げる有線LANケーブルなどが必要となります。
アドホックモード
アドホックモードはインターネット接続において、アクセスポイント無しで、一対一で通信することができる動作モードのことです。
アドホックモードでは、アクセスポイントを設定しなくてもよいため、ネットワークを構成するのは簡単です。
しかし、網目状に、複数のデバイスがネットワークを介して繋がり合うようなことはできないことから拡張性が低いといえます。
任天堂DSやPSPなどのゲーム機で行う複数人プレイや、スマートフォンからプリンターへのダイレクトプリントは、この②アドホックモードを使用しています。
ESSIDとは?
ESSIDとは、Extended Service Set IDentifierの略です。
ESSIDは日本語では「サービスセット識別子」と言われ、無線LANを識別するためのネットワークの名前を指します。
試験では、”無線LANのネットワークを識別する文字列“という文章で出題されたことがあります。
普段パソコンやスマートフォンでインターネットで接続するときに周辺のアクセスポイントの一覧が表示されますよね。
そのときに表示されている名前がESSIDです。
ちなみに、SSIDというのを聞いたことがある方もいるかもしれません。
ESSIDとは厳密に言うとSSIDを拡張したもの(Extended)です。
そして現在ではほとんどSSIDではなくESSIDが用いられており、SSIDと言えばそれはESSIDのことを指していることが多いです。
つまりSSIDとはESSIDとほぼ同じものと考えてよいです。
ESSIDステルスとは?
ESSIDステルスとは、ESSIDを周囲から見えないようにする機能のことです。
通常のESSIDは一定時間ごとに周囲に電波を発信し、自身の存在を知らせています。
ただし、周囲にいる人は誰でもその存在に気付くことができるため、悪意のある第三者がいる場合に、セキュリティリスクが高まります。
ESSIDステルスはESSIDの発信を停止し、利用者に直接ESSIDを入力してもらうことで、セキュリティを高めています。
試験対策まとめ
以下が試験対策のまとめです。
- 無線LANはコンピューター同士を無線でつなぐLAN
- 無線LANにはインフラストラクチャーモードとアドホックモードの2つの通信形態がある
- ESSIDは無線LANのネットワークを識別する文字列
- ESSIDステルスはESSIDの発信を停止してセキュリティを高める機能
今回はこの4つをしっかりと押さえておきましょう。
ITパスポートの過去問で実践
それでは実際に過去の問題を解いてみましょう。
平成24年秋期の過去問
以下は平成24年秋季に出題された問題です。
無線LAN環境においてアクセスポイントと端末に設定するESSIDに関する記述として適切なものはどれか、ア~エの中から選んでみてください。
- ア:暗号通信のカギになる文字列
- イ:暗号方式の種類
- ウ:無線LANで使用する電波のチャンネル番号
- エ:無線LANのネットワークを識別する文字列
…正解はエです。
ESSIDは、無線LANのネットワークを識別する文字列で、パソコンやスマホでインターネットに接続する際に一覧表示されるネットワークの名前のことでしたね。
平成26年春期の過去問
続いて、平成26年春期に出題された問題になります。
無線LANに関する記述のうち、適切なものはどれか。
- ア:PC以外では使用することができない。
- イ:アクセスポイントが無くても1対1でなら通信できる動作モードがある
- ウ:暗号化の規格は1種類に統一されている。
- エ:障害物が無ければ距離に関係なく通信できる
…正解はイです。
無線LANにはゲーム機やプリンターなどの子機同士が直接通信を行う、アドホックモードという通信形態があります。
平成28年の春期の過去問
最後の問題は、平成28年の春期に出題になります。
無線LANのアクセスポイントに備わるセキュリティ対策のうち、自身のESSIDの発信を停止するものはどれか。ア~エの中から選べ。
- ア:MACアドレスフィルタリング
- イ:WEP
- ウ:WPA
- エ:ステルス機能
…正解はエです。
ESSIDには、ESSIDステルス機能が備わっており、自身のESSIDの発信を停止し、第三者から見えなくすることでセキュリティを高めることができます。
まとめ
今回は以上になります。
本記事の中でわからない用語があった方は参考記事を貼っておきますのでそちらをぜひご利用ください。