この記事は就活・転職にも役立つ資格、”ITパスポート”についての解説動画です。
今回は『伝送時間の計算方法』について現役エンジニアである著者が分かりやすく解説していきます。
ITパスポート試験では、伝送時間を求める問題が良く出題されるのでしっかりと抑えておきましょう。
記事の後半で過去にITパスポートの試験で実際に出題された問題も取り扱っているので是非最後まで記事に目を通してみてください。
伝送時間とは
伝送時間は、あるデータ量を通信回線を用いて送る際に必要な時間の事です。
この伝送時間を計算する為には「伝送速度」と「伝送効率」2つの用語を抑えておく必要があります。
伝送速度とは
伝送速度は文字通りその通信回線がデータを送る際にかかる時間の事です。
その通信回線でデータを送る速さの、理論上の上限値になります。
理論上の上限値なので、実際にデータを送る際に必ずこの速度が出るわけではない点に注意が必要です。
普段インターネットを利用していると耳にする回線速度は、この伝送速度の事を指しています。
伝送効率とは
現実世界の道路にも渋滞が存在するように、通信回線にもデータの伝送を妨げる様々な要因があり、回線が渋滞する事があります。
このデータの渋滞の事を「輻輳(ふくそう)」といい、回線が混み合っている等の表現がされる事があります。
伝送効率とは、この通信回線の渋滞がどれくらいなのか、理論上の上限値である伝送速度をもとに、どれくらいの割合の速度が出ているのかを表します。
例えば、通信回線の伝送速度が10Mbps であるのに対し、実際のデータをやりとりする速度(実効伝送速度)が 5Mbps であった場合は伝送効率は50%という事になります。
伝送時間の計算方法
ここまでを踏まえて伝送時間を計算してみましょう。
伝送時間は、データ量÷実効伝送速度で求める事が出来ます。
- ある通信回線の伝送速度が4Mbps(ビット/秒) だとして、伝送効率が50%だとします。
- その回線を使って10Mb(メガビット)のデータを送る場合にかかる伝送時間を求めるとしましょう。
伝送時間4Mbps の伝送効率が50%ですので、実効伝送速度は 2Mbps となります。
1秒間に2メガビットのデータを送る速度がありますので、10Mbのデータ量を送る場合の伝送時間は「5秒」となります。
実際の過去問
それでは実際に過去に出題された問題を解いてみましょう。
今回はITパスポート試験で実際に出題された問題を紹介します。
① 令和2年秋期試験に出題
伝送速度が20Mbps(ビット/秒),伝送効率が80%である通信回線において,1Gバイトのデータを伝送するのに掛かる時間は何秒か。
ここでは,1Gバイト=103Mバイトとする。
- ア 0.625
- イ 50
- ウ 62.5
- エ 500
…正解は「エ」です。
以下で解き方を示します。
伝送速度20Mbpsは理論上の上限値であり、伝送効率が80%なので、実効伝送速度は、
20Mpbs * 80% = 16Mbps
となります。
伝送するデータはバイト単位なので、単位を揃える為にビット単位になっている実効伝送速度をバイト単位にします。
1バイト = 8ビット
なので、バイト単位の速度は、
16Mビット / 8ビット = 2Mバイト / 秒
となります。
1GB=1,000MBのデータを 2Mバイト / 秒 の速度で伝送するので要する時間は、
1,000Mバイト / 2Mバイト= 500秒
となり、答えは「エ」となります。
試験対策まとめ
試験対策用のまとめです。
- 伝送速度は、通信回線の速さの理論上の上限値
- 通信回線上でのデータの渋滞の事を「輻輳」という
- 実際にデータをやりとりする速度を実効伝送速度という
今回はこの3点を押さえておきましょう!
まとめ
今回はITパスポートでよく出題される伝送時間の導出に関する解説をしてきました。
伝送時間や伝送効率、伝送速度など色々な用語が出てきますが落ち着いて考えればわからなくはならないはずです。
試験で出されてもよい点がとれるよう伝送時間に関する計算問題を繰り返し解くとよいでしょう!
今回は以上です。
ビットやバイト等、本動画の中で分からない用語があった方は以下に関連する記事のリンクが貼ってありますのでそちらも是非ご覧になってください。